やがて長島の運転する車は、琵琶湖のほとりへと辿り着いた。
長島が車から降りて離れた隙に、尾行してきた千秋がこっそりと近づき俊一を救出する。
「んんっ!?(千秋!?)」
「しーっ!! 静かにして。今縄を解くから」
目印にしていた浮き球を頼りに、湖底から隠していた金塊を引きずり出す長島。
「けっけっけ! これでお宝は俺のもんだぁ!!」
「なーるほどな。そんなところに奪った金塊を隠してあったのか…」
「だ、誰だお前は!?」
長島が振り返ると、そこには鈴見樟馬が立っていた。
「警察じゃなさそうだが、邪魔しやがると容赦しねえぜ!」
長島は蟻型のアントレギウスへと変身した。
「やっぱりレギウスだったか・・・」
樟馬もレッドドラゴンレギウスに変身して応戦する。
強力な顎を突き出して突進してくるアントレギウスに対し、レッドドラゴンレギウスはかわして炎のブレス攻撃を浴びせる。怯んだアントレギウスをレッドドラゴンレギウスは背後から組み伏せるが、アントレギウスは強力な毒の蟻酸をレッドドラゴンレギウスの顔面目掛けて噴射した。
「し、しまった! 前が見えない!?」
「グハハハハ! 食らえ~!!」
一瞬の油断から劣勢に陥ったレッドドラゴンレギウス。
その様子を林の陰から見ていた俊一は「あの人を助けなきゃ!」とライオンレギウスに変身して、千秋が止めるのも聞かず戦いの中に割って入る!
「くそっ、もう一匹仲間がいたのか!?」
「き、君は!?」
「味方です! 一緒に戦いましょう!」
ライオンレギウスとレッドドラゴンレギウスは、
お互い初ながら見事な連係プレイでアントレギウスを倒すのだった。
「ちきしょう…せっかくのお宝を目の前にして……ぐはっ!!」
アントレギウスは爆死した。変身を解く俊一と樟馬。
「驚いたな。まさか君がレギウスに覚醒していたとは」
「俺も驚きです。あの鈴見選手がレギウスになっていたなんて…」
「お願いです。俊一がレギウスであることは、今は誰にも内緒にしていてください!」
「申し訳ないが、俺の雇い主には報告しないわけにはいかないな。
でも君たちの悪いようにはしない。それは約束する」
樟馬は「また会うこともあるだろう」とだけ言い残し、去って行った。
戦いが終わり、俊一と千秋と樟馬が去った琵琶湖の湖畔。
その砂浜が突然、まるで山脈が隆起するかのように盛り上がり、
地中から不気味なムカデのような姿をした怪人が上半身を現わした。
「報告…。アントレギウスは脱落しました。
ライオンレギウスは戦う度に着実に魔力を増し、すくすくと育っております。
イタリアにいたドラゴンレギウスらも既に来日しており、
どうやら奴の味方につこうとしている模様。
今後の動向次第では、彼らも我々の計画に組み込める可能性があります」
魔法でテレパシーを送り、どこか遠くの相手と通信するムカデの化身・センチピードレギウス。
交信相手である何者かから同じくテレパシーによる返事を受けてうなずくと、
センチピードレギウスは意味深なせせら笑いを見せた。
「戦え…! 血にまみれて激しく戦い合え…!
そして強く逞しく育つがいい。
所詮お前たち全ては、我々に貢献するために生まれてきたチェスの駒に過ぎんのだ…!」
狂おしい声でそう言い残したセンチピードレギウスは、再び砂の下に潜って姿を消した。
果たして、謎めいた企みを抱くこのレギウスは一体何者なのであろうか…!?